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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
俺は少しおどけて、そう言った後で、席を立つと瑞月の方に右手を差し出す。
「手、繋ぐか?」
すると――
「いい」
瑞月は言って、パンと俺の手を払いのけた。
さっきまでと違うその反応に「ハハ」と笑みを零しつつ、俺はふと思うのである。
もし俺と瑞月が、たとえば思春期を迎えた頃に、お互い再婚相手の連れ子として出会っていたのならば、どうなっていたのだろう、なんて。
血の繋がりがないと、初めからわかっていたのなら、一体?
それは無意味な仮定かもしれない。だからといって、恋愛に発展したかと言われれば、やはりそこまで安直ではないのだろう。
それでも、その事実を知らずに、過ごした十年余りが俺と瑞月にはある。兄と妹としてなんの疑問もなく育ってきた時間が、二人の間には間違いなくあるのだ。
その時間を否定することを、俺はなによりも恐れているのかもしれない。瑞月を愛おしく想えば想うほどに……。
きっと、それは瑞月だって――。
さっきよりも少しだけツンとして見える、隣を歩くその凛々しい横顔を、そんなことを考えながらも、それでもどこか誇らしげに、俺は眺めている。