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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
◆◆◆視点・岸本瑞月◆◆◆
あれは、私――岸本瑞月の、高校卒業が迫っていた、ある日のこと。
「お母さん、ホント?」
「ええ、何度か話し合って、ようやくね。最後には『瑞月も、もう小さな子供じゃないんだな』と、なんとか認めてくれたようよ」
お母さんはそう言って微笑んでくれたけど、少し疲れたように、ため息をついた様子が、少し気にかかった。
「お父さん説得するの、大変だったんじゃない?」
その時、お母さんは、首を小さく振った。
「いいのよ。瑞月が気にすることではないわ」
「……」
私の問い対し気遣いを感じさせながらも、お母さんは否定したわけではなかった。そのことと、お母さんのそこはかとなく疲れた雰囲気が、妙に印象に残った。
いつも綺麗で優しいお母さんは、私の自慢だった。高校生になった頃、「お母さんに似てきたね」と言われたことが、とても嬉しかったことを憶えている。
でも、この頃のお母さんは、相変わらず綺麗ではあったけど、ほんの少しだけ老けて見えることがあった。