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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
私のことで、なにか負担をかけてないだろうか。ふと、そんな風に思うことが増えた。それは今回の件ばかりではなくて、私が高校生になった頃から徐々に感じていたことだった。
「明日の午前中、お父さんのところに行ってらっしゃい」
お母さんに言われ、私はなんとなく気が重たくなった。
「電話じゃダメ、かな?」
「一人暮らしを許すにあたって、いろいろお話しをしておきたいようだけど」
「いろいろって、なんだろ?」
「さあ? だけど、認めていただいたのは、確かだもの。だから、平気。きっと、お部屋のことで、瑞月の希望を聞いてくださるのでは、ないかしら?」
「それなら、いいけど……」
私はどうにも、気が進まなかった。
「ねえ、お母さん……」
「なあに?」
「……ううん、なんでも」
超高層マンションの最上部。その二つのフロアを独占して改装した、私たちの住処。その広すぎるリビングスペースで目の眩むような景色に囲まれながら、私はお母さんと話していた。
でも結局、最後の一言は濁していた。
お父さんと会う時、一緒に行ってくれない――と。
本当は、そうやってお願いしたかった。でも言えなかったのは、これ以上、お母さんを困らせたくなかったから。
そう感じたのは、ちゃんとした根拠があってのことではない。ただ、なんとなく〝空気〟は察していたから。特にこの一年くらいで、そんな〝空気〟が、確かに漂い始めていた。