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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「えっと……よかったのかな。会議、まだ途中だったんでしょ?」
皆が退室していったドアを睨みつけている背中に、恐る恐る聞くと。
私の方に向き直り、お父さんはとてもにこやかに微笑むのだった。
「もちろんだよ! お父さんにとって、瑞月はいつだって最優先だかららなぁ」
さっきまでの険しい顔と、次に向けられた笑顔。全く正反対の表情が、どうしてだろう、私には同じものの様に感じられていた。
「あのさ、お母さんから、話――聞いてる?」
思わず上擦りそうな声に気をつけながら、私は努めて普通に話そうとしていた。
「ハハハッ! 随分と我が儘を言うようになったじゃないかぁ。なあ、瑞月」
「うん、ごめんね」
「まあ、いいだろう。部屋の方は早速、お父さんの方で手配済みだ。大学の側に、いい物件を見つけたものでな」
やっぱり、私の希望なんて聞いてくれない。だけど、それはわかっていたこと。一人暮らしを認めてくれただけで、十分だった。それよりも――
「ありがとうね、お父さん」
私はそう言って、ニッコリと微笑んだ。お母さんから「ちゃんと、お礼を言うのよ」と言われていたせいもあった。
すると――
「いいんだよ、瑞月。愛する娘のことだ。さあ――」
お父さんは、そう言って両手を広げた。
「!」
でも、私は期せずして、顔を背けていた。
いつからだろう?
「んん? どうしたんだ、瑞月?」
お父さんの広げた両手の中、その胸に、飛び込むのを躊躇するようになったのは?
「――さあ、おいで」
再度、大きく広げられた腕の中に身体を預けながら、私はまた考えてしまう。
いつからだろう?
「フフフ、いい娘(こ)だ」
こんな風に、強く抱きしめられた胸の中で、身体を強張らせるように、なったのは――
「……ッ!」
――いつ、から?