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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで
髪を手早くお団子ヘアにすると、転がっていた食材からいくつかの野菜をピックアップし、そのままキッチンへ。更に冷蔵庫を開けて残り物を吟味しながら、彼女は言う。
「冷凍のご飯あるから――ま、炒飯かな。あとはスープと、適当な野菜炒め――で、いい?」
「あ、うん」
「じゃあ、やっちゃうから。管理人さんは悪いけど、そっちで片づけお願い」
「それは、いいけど」
と一応は答えながらも、散らかしたリビングをすぐに片付けに向かわず、そのまま様子を見守っていた。中華鍋やお玉など調理道具の置かれた場所を教える必要があると感じていたのだけど、高坂さんはキッチンの収納を開き素早くそれらを探し当てた。
「この鍋、しばらく使ってないね」
言って、すかさず鍋を洗いはじめる。そこで、目が合った。
「なに?」
「いや、別に」
「早く片づけて。すぐに作るから」
「ああ」
ぱっと見の印象と異なり、かなり家庭的なのかもしれない。そんな風に思いながらリビングの片づけをしていると、ほどなく食欲をそそる炒め物の音が響いてきた。
片づけを終えてキッチンを覗くと、小気味よく中華鍋を振る高坂さんの姿を目の当たりにする。
「なんだか、すごいな」
思わず呟いていた言葉に、彼女は照れ笑いを浮かべた。