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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「今、経験という言葉を使ったが、具体的にはどんな経験がしたいんだ、んん?」
「それは……」
すぐに返事をできないでいると、お父さんはとても低い声で、こんな風に言った。
「もしかして、異性とつき合いたいとか、そういう話かな?」
「――!」
その時のお父さんの顔。笑っているけど、目は作り物みたいだと感じた。私の方を冷たく見たまま、瞬きもしない。
私は背筋に冷たいものを感じながら、慌ててこう答えた。
「ち、違うよ……そんなこと言ってない」
「そうかそうか。安心したよ。ハッハッハ! すまない。お父さんの杞憂だったな」
「……」
「いいかい、瑞月。瑞月がやりたいことがあれば、お父さんは大抵のことを叶える権力(ちから)があるんだ。だから世間の人たちがするような苦労は、一切する必要はない。この先もずっと、お父さんを頼りなさい。瑞月はお父さんにとって、誰よりも大切な存在だからな」
そう話したお父さんは、私の頬に触れると、愛でるようにこう話した。
「瑞月はこんなにも素敵に、成長してくれているじゃないか。お母さんの若い時と同じ――いいや、既にそれよりも魅力的だ。無理をしなくても、このままでいい。お父さんは十分に満足しているよ」
結局、話し合いは、私の不満と不安を大きくするだけの結果となった。そして、ようやく気づく。