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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
◆◆◆視点・岸本涼一◆◆◆
時刻は正午の少し前。朝食を食べてなかった俺たちは、立ち寄った蕎麦屋で早めの昼食。その席で俺は、瑞月の置かれた現状について知ることとなった。そしてそれは、俺が想像した以上のものだった。
はっきり言って、どこをどう切り取っても異常な話である。一番ショックなことは、やはり親父が瑞月に注ぐ愛情が娘に対するものを超越してると感じられる点だ。
少なくとも俺が一緒に暮らしていた頃には、確かに溺愛はしていたけれど、行き過ぎてはいても決して異常さを覚えるようなものではなかったはず。
そこは瑞月の成長に伴い、ということなのか。あまり考えたくはないが……。
当面、問題となるのは監視の数だろうか。五十や百というのは流石に言葉の綾だろうが、普段それだけ入念に見張られている瑞月に対し、旅先の監視が二人だけとは思えない。
仮に今は上手く撒けている状態であったとしても、周囲への警戒は怠るべきでは――否、既にそこじゃないのか。問題というなら、監視を撒いてしまったことの方が、よっぽど……。
それが知れた時に、どんな対処がなされるのか、予測ができない。俺が親父と対峙する場面も、そう先の話ではないのだろうか。
今は瑞月の不安を、いたずらに煽るような真似はしたくない。しかし、この一日をどう過ごすべきか。瑞月の願いが願いなだけに、難解に尽きる。
「お父さん、私のことどうしたいのかな?」
瑞月がポツリと言う。