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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
瑞月自身が、どこまで意識して口にしたものかはわからないが、問題の本質はやはりそこなのだろう。
「ホントにな」
兄として情けないことだが、今は相槌程度の言葉しか出てこない。でも、様々な可能性は思慮しておかなければ。
たとえば、瑞月が将来を共にする相手は、自分で決めようという腹積もりではないのか。積み上げたキャリアとしては革新的なイメージでやることもイチイチ派手だけど、それでいて古風なところを持ち合わせているというのが、息子としての印象だ。
そう考えていても不思議ではないし、親とすれば理解できなくもないが、どの道、瑞月の意志を蔑ろにしてることには変わりない。
いつまでも綺麗に、自分の掌の上に置いておきたい。実際は、この気持ちの方が近い気がしてしまう。その上で、どうしたいのか。まさかとは思うが、母親のスペアのように思って――?
「どうかしたの?」
嫌な考えを振り払おうと頭を振った俺を、不思議に思ったのだろう。
「流石に飛躍しすぎた」
「飛躍って?」
「いや、なんでもない」
確証もなく、こんな話を瑞月に言えるはずもない。
だが、瑞月は別の角度から、この「飛躍」という言葉に、引っかかりを覚えたようだ。
「私だってさ、抵抗がないわけじゃないよ。血の繋がりはなくても、ある時期まで確かに、涼一は私の『お兄ちゃん』だったわけで」
「そうだよな」
「だけどさ……今までのように圧倒的に狭い視野の中で生きてきて、その息苦しさに耐えかねそうになってて、他に頼るべき人……打開する方法だって、いくつもはないって思っちゃうよ」