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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
どう考える、という意図を汲み取ることができずに、俺はその様に答えることしかできなかった。だけど、親父は――
「それでいい」
「え?」
「そう思うなら、これから先も家族の形を壊さないようにすることだ。自分にはその権利はないことを肝に銘じておけ。俺にはあったとしてもな」
△ △
当時は、どういう意味なのか深く考えることもしなかった。でも、今となっては――。
「私、思うんだけど」
「うん……?」
「お父さんが私に抱く幻想が壊れてしまえば、今みたいな執着はなくなるんじゃないかって。だから、今日たった一度のきりことでもいいって、そう思うの」
「瑞月……」
「相手が実の息子なら、流石にどうにかしたりしないでしょう?」
「それは……」
俺だからこそ、酷いことになりそうな気も……。
「考えれば考えるほど、もうこれしかないって……ごめん、無理言ってるって、わかってる」
「瑞月が謝る必要なんてない。でも、いいのか? そんな消去法みたいな決め方で」
「違うよ」
「え?」
「だって、そう決めた時から、ずっと――」
それまで俯いていた瑞月が、潤んだ瞳を俺に向ける。
「――胸の高鳴りが、止まらない」
「!」
俺はこの気持ちに、果たしてどう応えるべきなのか。