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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
もしかしたら、俺が家を出ようとした一因は、そこにあるのかもしれない。
「そ、そんなわけで……俺がお前をほっとけないのは、妹だからってだけではなく、そういう気持ちもあるわけで……」
「そういうって、どういう? 肝心なところなので、具体的に言って」
「いいだろ、今は――それより、早く五月女さんに電話しないと」
「へえ……この流れで、その名前出すんだ」
「あのな、瑞月。俺たちが監視を振り切ったと知れれば、向こうがどう出てくるかわからないんだ。五月女さんは唯一、親父側で俺たちに協力してくれるかもしれない貴重な存在なんだ」
「俺たちじゃなくて、涼一に――でしょう?」
「瑞月!」
「もう、わかった! 電話してきていいよ。私……あそこで待ってるから」
立ち寄った公園のベンチに瑞月の姿を認めながら、少し離れたところで俺はスマホを手にする。
「涼一さん?」
「うん。連絡が遅れてすいません。でも、どうして?」
「私の方から連絡を取るようにと、そう言われたの」
「それって、親父から?」
「まさか。お父様がお忙しいの、涼一さんだってご存知でしょう? それに涼一さんの側に居た時と違って、現在は直接なにかを頼まれる立場にないわ」
「じゃあ、五月女さんに言ってきたのは、瑞月の監視役の人とか?」
「そのようだけど、詳しい事情は教えてもらえなかった。なのがあったの?」
「出かけた先で、瑞月と二人、監視の尾行を撒いたんだ」
「まあ、過激ね」