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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
まだ親父の耳には入ってないが、スマホを置いてきたのが監視役にバレた。今はそんな状況のようだ。
どうする? スマホを車内に「置き忘れた」ことにしてもらうか。最初から監視のことなど気づいておらず、あくまで偶発的なことだと、五月女さんから説明してもらえば――。
否、それだと現在いる場所を伝えなければ不自然になるか。五月女さんに、あまり無理をさせたくもないし……。
「それにしても、変じゃない? 涼一さん」
「え、なに?」
「だって、先週提出してくれたスケジュールによると、今日は皆さんと一緒にワイナリーを見学した後で、プールで遊ぶ予定になっているのだけど。実際は瑞月ちゃんとデート? かしら、いいわね」
ああ、あったなそんなの。すっかり忘れてた……。
「ちなみにアレって、本当に親父に提出をしたの?」
クスクス。電波の向こうで、五月女さんが笑っているのが、わかった。
「ウフフ、だから言ったじゃない。お父様はお忙しいの。あんな適当に捏造したものを、イチイチ見ていただくわけにはいかないわ」
「は? じゃあ、なんでスケジュール、わざわざ作らせたの?」
「ちょっと、意地悪したくなったの。だって、そうでしょう? 涼一さんたら、可愛い子たちに囲まれて、とても楽しそうだったから」
「楽しそうになんてしてない! まったく……あの後、大変だったんだから」
五月女さんの茶目っ気というなら、ほっとした部分もあるけども。そのお陰でこっちは、四日連続のデートなんてことになってるわけで……。
「それにね。基本的にお父様は、涼一さんのことを信頼していると思うの」
不意にそんなことを言われ、俺は顔をしかめる。