この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「まさか……。大体、どこをどう取れば信頼なんて言葉が?」
「以前、こう仰っていたわ。アイツはああ見えて、思慮深く保守的な男だって」
俺は、ため息をついて。
「そして、臆病者で地味でつまらないって、そう続くんじゃありません? それは一つも誉めてませんよ」
「だけど、そちらに居る間の瑞月ちゃんの監視、かなり緩かったんじゃない? 少なくとも東京に居る時と比べたらね」
そうかもしれないけど、実際監視はいたわけだし……。
だけど五月女さんの話を聞く限り、俺が瑞月とどうにかなるとは考えてない、ということになるのか?
「五月女さんは、瑞月の置かれた現状を知ってるんですよね?」
「まあ、大体のことは耳にしていると思うけど」
「異常だと、思いませんか?」
「そうね……」
噛みしめるような言葉を耳にして、俺は自らの決意を明かす。
「俺、瑞月を自由にしてやりたいんです」
「そう……でも、どうやって?」
「正直いって、わかりません。でも、できれば五月女さんには味方になってほしいんです」
「味方に?」
もちろん信頼はしている。だから、監視を撒いたことも最初に話した。でも、親父の意志に反することで、協力を仰ぐことは、口裏を合わせる程度のこととは話が違うのだ。
だから少しでも躊躇が感じられたら、無理にお願いすべきことではないとも思っている。
だけど、五月女さんは――
「フフ、今更、なにを言うのかと思えば」
「五月女さん?」
「とっくに、味方でいたつもりよ。あの時、解り合えてから」
「……!」
五月女さんの言葉をきっかけに、俺の脳裏に蘇るもの。
それは夏輝木葉(名も知らぬ少女》)を深く傷つけてしまった、その悔恨に苦しんだ頃の――。