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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで


「なにこれ? こんな炒飯、今まで食ったことがないんだけど……」

「もう、大げさ」

「いや、マジで。高坂さん、料理が上手なんだね」

「ありがと。でも、美味しいと感じるのは料理の腕というより、たぶんタイミングのおかげじゃないかな」

「タイミングって、調理中の手際のこと? それって、やっぱり腕なんじゃ――」

「もちろん、それもあるけど、たとえばこの炒飯の場合はね。管理人さんが買って来た食材と、冷蔵庫にあった残り物がたまたまマッチしている。そしてもっと言えば、私は炒飯を作ろうと閃き、それを作り立ての内に食べてくれる人がいた。ね、すべてはタイミングだよ」

 そう話した高坂さんに、じっと見つめ返された。

「と、とにかく最高だよ」

 俺はドキリとした心音をごまかすように、また炒飯を口に運ぶ。

 食事が終わると、すぐに高坂さんが後片づけをはじめた。作ってもらったのだから食器くらい洗うと言ったのだけど、彼女から「泊めてもらってるんだから」と軽くいなされた。

 手持ちぶさたに立っていると、高坂さんに聞かれる。

「ねえ、あの子たちは?」

「ああ、忘れてた」

 スマホを見たが、瑞月たちからのメッセージはまだない。もうすぐ午後八時。そろそろ食事は済んでるはずだ。

【迎え、どうする?】

 瑞月にメッセージを送るが、すぐに【既読】とはならない。せめて迎えが必要であるかだけでも、事前にはっきりさせておくべきだった。この先二週間、毎日このように気を揉まなければならないのだろうか。そう考えると、改めて辟易する思いだった。

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