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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意


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 五月女さんは、その時の心情を、こう話した。

「父の困惑は、その震える背中を見れば一目瞭然でした。岸本英次は、その存在自体があまりに威圧的で、その前に佇む父は、今にも消えて無くなりそうなくらい、小さく感じました」

「それで、五月女さんは親父の元に?」

「はい……。父の代わりに、自分で答えました。『よろしくお願いします』と。深く考えてのことではありません。そう答えなければ、いけない。そんな強迫観念に駆られていたのです。無関係だとは言っていましたが、断ればどうなるのか、それは明白だったように私には感じられたのです」

「それじゃ、そのまま?」

「ええ、学生時代のアルバイトを経て、卒業後には正式に秘書課へと迎えられることになります。そして、今に至った」

「その後、お父さんの会社はどうなったんですか?」

「アプリの開発に関わっていた有能な人材は、全員引き抜かれる形に……。それを受けて父の会社は、ほぼ実体を失うことになります。それでもグループからは小口の仕事を与えられ、細々ではありますが今でも辛うじて存続はしています。助けがなければ、多額の負債を背負うことになったと考えれば、まあそれも、良かったというべきなのでしょうね」

 そこまでの話を聞き、一番気にかかっている部分。俺はそれを、思い切って訊ねた。

「五月女さんは親父から、なにか酷い仕打ちを受けたんじゃないですか?」

「いいえ……私には勿体ないくらいの高待遇でした。その上、仕事のノウハウも優秀な先輩の元で丁寧に学ばせていただくことができたのです」

「そういう意味じゃなく……だって話の流れ上、そう思うじゃないですか。親の会社を守るために、五月女さんが、その……」

「犠牲になった?」

「え、いや……」

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