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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「今日だけじゃ無理かもしれないけど、親父にはちゃんと瑞月の気持ちをわからせなくちゃな。そのためにも、今日の小さな反抗は意味がある」
「私が気持ちをわかってほしいのは、お父さんじゃなくて……涼一なんだけどな」
「瑞月……」
「ねえ、ダメなの? 私は、涼一に望みを叶えてもらえたら、それでいいのに」
確かに、先送りばかりもしてられないか。俺は瑞月を見据えて言った。
「じゃあ、二人きりになれるところに行こう」
「え?」
「そうしたいんじゃないのか?」
責めるように言うと、瑞月は少し視線を泳がした後で、小さく頷いた。
「う、うん……そうして」
そんな瑞月を前に、俺はもう一度電話をかけることにした。マスターの知り合いで店の常連客でもあるその人は、アパートをいくつか経営しているという。
「あ、蒲田さんですか? ――ええ、ご無沙汰してます。――その節は、どうも」
以前、マスターと|蒲田さん《通話相手》に何度か麻雀をつき合わされたことがあり、それ以来、気さくに話しかけてくれるようになったのだが。
「――それで以前、もしもの時は部屋を使わせてもらえるとか。――いえ、そういう訳じゃないんですが。――ハハ、まいったな」
あまり気が進まないが、他にあてもない。最初から、瑞月を連れてラブホテルに行く選択肢はなかった。
「――場所はそれで、わかると思います。――いいんですか。ありがとうございます。では、お借りします」