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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
電話を終えると、不思議そうな顔をした瑞月から聞かれる。
「なんの電話?」
「部屋を借りたんだよ」
「部屋って、ホテルとかの?」
「違うよ。もし二人でそんな場所にいたとわかれば、それこそアウトだ。言い訳ができない」
「言い訳……か」
そう呟く瑞月を見て、言葉のチョイスを間違えたかと感じる。でも今は、それを気にしている時ではない。
「とにかく行こう」
「……うん」
それから一度、駅の側まで戻ると、タクシー乗り場に直行し、間もなく到着したタクシーに急ぎ乗り込んだ。
そうして蒲田さんに教えてもらった住所を伝え、走ること二十分、件のアパートへと到着する。
料金を支払い車を降りると、不安そうにしている瑞月を促して、敷地内の端『108号室』の前で足を止める。
「鍵は、あるの?」
「ああ、うん。話によると、この辺りに……」
ドアの横にはベランダが張り出している。こちらから死角になる壁の裏に手を這わせると、チャリと金属がした。背伸びをして覗き込むと、壁には真鍮のフックが穿たれていて、そこに鍵が引っ掛けられている。
「防犯上、駄目だろ、コレ……」
呆れながらも鍵を手に取ると、ドアを開け、俺たちは部屋の中に入った。