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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
△ △
「俺、岸本のこと好きみたい」
体育の授業が終わり、当番だった私が使用していた用具を片づけていると、唐突にその言葉は背中の方から聞こえてきたのだった。
「え?」
言葉の内容よりも、人がいたことに驚き、振り向いた私は背後に立つ人の顔を確かめた。すると――
「手伝う」
その人は私の元に駆け寄ると、私と一緒に用具の片づけを始めた。
「あ、ありがと」
「一人じゃ大変だろ。誰かに言って、手伝ってもらえばいいのに」
「いいの。私、変に気を遣われちゃうことが苦手だから」
「ふーん」
「……」
会話がなくなってから、最初に言われていた言葉が、段々と頭の中に浸透してきていた。
「あの、さっき」
「うん。ま、そういうことだから」
「でも、なんで……私?」
すると彼は、私の目を見て言うのだった。
「岸本って、なんかいつも、つまらなそうじゃん。女子たちと話してる時も、なんとなく話し合わせて飾ったような顔で笑って、そういうの気にしてる内に、なんとなくさ」
ぶっきらぼうな口調で、そんな風に言う横顔を見て。
「変わってるね、石田くんて」
「そうかぁ?」