この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
結局、自分からはぐらかしてしまった。ちゃんと相談したら、どうなっていただろう。石田くんに告白の返事ができないまま、二週間近くの時が流れていった。
なのに石田くんは催促することもなく、たまに目が合うとニコッと微笑んだりする。流石にもう返事をしなければと、私はまた涼一の部屋を訪ねようとした。
その時点で、薄々、どうして返事に躊躇するのか、自分でも気づいていたと思う。普通の子みたいに、自由にできないからではない。他の人と恋する自分を、涼一に知られたくなかった。だから相談も、中途半端になって……。
その気持ちがどこから来るのか、それはわからなかった。だけど中学一年生の時、お父さんとお母さんの真実を知ることになってから、それは徐々に育まれていった想い、だろう。
ある日、私の隣にいた人が、ずっと一番近くにいた人が〝本当のお兄ちゃん〟じゃないと、わかった。ショックだったけど、なにがどうショックなのか、心の中で噛み砕くことができなかった。
お兄ちゃんは、知っているのかな? それを確かめようとしながら、時が過ぎるほどに確かめられなくなった。自分の中に、今までと違う気持ちが段々、少しずつだけど、でも確実に、大きくなっていくような気がしていたから。
それが、怖いようでもあって、嬉しいようでもあった。