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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
そう言って涼一に詰め寄ると、肩を掴まれ、身体の体勢をクルリと入れ替えられた。私は壁に背中を押しつけられ、まるで私の逃げ場をなくすようにして、涼一は壁に両手をついた。
「お……お兄ちゃん?」
二年くらい前までは、私の方が高いくらいだったのに。いつの間にか私を追い抜いた身長でこちらを見下ろし、涼一の顔がすぐそこまで近づいていた。
一体、どういうつもり? 涼一の意図がわからずに、焦った私は自分でも想定してなかったことを口にした。
「お……お兄ちゃん、知ってる?」
「なにを?」
「お父さんが、私の本当のお父さんじゃなくて。お母さんが、お兄ちゃんの本当のお母さんじゃないこと」
「み……瑞月。お前……いつから、それを?」
「中学に上がったころ、クラスの男子たちにからかわれたことがあったんだ。二人が結婚する前、お父さんは、それほど有名ではなかったけれど。お母さんの方は人気モデルとしてタレント活動もしていたから」
「見たのか? 結婚前の、あの記事」
私はこくりと頷き、自嘲気味な笑みを零した。
「なんだ……知っていたんだね、お兄ちゃんも」
知ってた?
そうわかった瞬間、なぜだろう、私の中で怒りがふつふつと沸き上がっていた。
知ってるくせに、私のこの気持ちを置き去りにするの――?
そう思う私に、でも、涼一は応えてくれない。
「卑怯なんだよ! 大人は! 瑞月の本当の父親は? 俺の本当の母親は? 俺たちには、それを知る権利もないのか?」
私とは違うベクトルで、涼一その怒りを露にしていた。