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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
それを聞いて、私の中にも様々な感情が渦巻く。私が家族だと思っていたものを、涼一が否定しようとすることも。私に対して、気持ちを向けてくれないことも。どこか悲しくて……。
私はもう、泣き出しそうになった。
「だって……今まで……それで、家族は……ずっと、幸せに」
「そんな誤魔化しの幸せが、嫌になったんだ」
「だから……出て行くの?」
「そうだ」
きっぱりと言う涼一を見て、私は涙を堪えられなかった。
その涙を指で拭いながら、涼一はこう言うのだった。
「気づいているのか? 俺は瑞月に、キスをすることだってできるんだぜ」
「な、なんで……そんなこと……?」
「そういう可能性だって、あったって話だ。親の都合で、俺たちの可能性が消されるのを、黙って――」
そこまで言いかけ、涼一は言葉を濁した。
「たとえが適切じゃなかったな。とにかく――」
私はそのまま、この話を終わりにしたくは、なかった。
「今でも、〝ある〟よ」
「瑞月?」
「〝あった〟ではなくて〝ある〟の。だから可能性は、失われてなんかいない」
私は顔を上げ涙を流したまま、涼一を真っ直ぐに見据えた。
そして、言った。