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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで
高坂さんは書斎の中を、物珍しそうに眺めて回る。今のところ、妙な素振りはない。
「普段は、ずっとここに?」
「ああ、ほとんどこもってる」
彼女はデスクの上を眺め、更にベッドの方に向かう。
「こんなに広い別荘なのに、どうして?」
「その方が落ち着くんだ」
そう答えた俺の方をちらりと見やり、そして彼女はごく自然にベッドの上に腰掛けた。
「あ……!」
「どうしたの?」
「いや……」
流石に焦る。そこは昨夜、男と女が乱れたベッドだ。
「なにか、やましいことでも?」
「まさかっ!」
「ウフフ」
意味ありげな笑みを向けられた時、俺の中に焦りとは別の感情が宿る。
「そういうの、わざとなのか?」
「そういうのって?」
「だから――」
いら立ちを覚え、彼女の方に詰め寄ろうとした。そのタイミングで――「!」
着信を告げたスマホ、それを見ると。
【カラオケに行きまーす!】
【タクシーで帰りますので、どうぞご心配なく】
それは、夏輝さんからのメッセージだった。
「あの子たち?」
高坂さんに聞かれ、そのままスマホの画面を向けた。すると――
「だったらさ――」
「え――!?」
スマホを向けた手を引かれ、ベッドに倒れ込んだ。その時、折り重なった俺の耳元に。
「――まだ少しの間、二人きりだね」
高坂文水が、ささやきかけている。