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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで


 驚き、焦っていた。ベッドの上。不意に手を引かれた拍子、彼女のことを押し倒してしまっている。迎えるように軽く抱きすくめられ、耳元では更に甘い声でくすぐられた。

「いいよ」

「なっ――!」

 詰まらせてしまった言葉を、言い直すのは二の次だった。俺はベッドについた両手に、懸命に力を込める。なんとか身体を引きはがそうとするが、相手がそれを許してくれそうもない。

 更に強く抱きつかれ、こちらの鼓動がダイレクトに伝わりそうなくらいに、胸元が密着する。高坂文水の確かな弾力が、しっかりと押しつけられていた。

 仕方なく、そのままの体勢で話しかける。

「あの……さ」

「なぁに?」

「本当に、どういうつもりなのかな――と?」

「この状況になっても、まだわからない?」

 更にからかわれることを覚悟した上で、愚直に聞く。

「ああ、そうだよ。わけがわからなくて、頭が変になりそうだ。だから、どうしてこうなっているのか、詳しく説明してもらえると助かるんだけど」

「フフ、難しく考えすぎじゃない? 女がベッドの上で『いいよ』って言っているの。だから、あとは男がどうしたいのか――それだけだと思うけど」

「そ、そうは言っても……」

 男としての欲望は、もちろん顔を覗かせはじめていた。それが邪魔するから、物事の本質を見失いそうになっている。それが嫌だった。

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