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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
◆◆◆視点・岸本涼一◆◆◆
「!」
シャワーの音が止まった。もうすぐ、瑞月がここに戻ってくる。
その決心が鈍ってくれるのを、どこか期待していた。こんな部屋に連れてきたのも、そう。瑞月が折れてくれないかと、そう望んで、さっきはあんな風に言った。
兄と妹でいるためには、もう俺から撥ねつけなければならないのか。そうか。それをしたくないから、俺は……。
この広い世界にいながら、誰よりも恵まれたている環境(と、人は言うだろうし、俺もそれを否定することが許されないことを自覚する)で生まれ育ちながら、俺と瑞月は取り残されたままだった。
だからこそ、俺は恐れている。そんな俺たちが、結びついてしまった時に、二人はまた完全に世界から孤立してしまうのではないか、と。
瑞月は救われるべきだ。そう望むからこそ、それをするのが俺であってはならないと思ってしまう。救われるために尽力は惜しまないが、その後で手を携えるのは、他の誰かであるべき――。
「涼一」
名前を呼ばれ顔を上げると、ベッドに座る俺の右手に瑞月の姿を認めた。
「瑞月……」
瑞月は広げたバスタオルで胸から下を隠すように立つ――が、すぐにそれをハラリと床に落とした。