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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
その丸田と対面する位置に、濃紺のスーツの男が立っている。だけど二人が立っているため、顔は画面から切れている。
「丸田くん、久しぶりだね」
スーツの男が右手を差し出すと、丸田は恐縮しながら両手で握手に応じた。
「いやあ、ご無沙汰しております。――え、映ってない? あ、コメントも【誰?】【誰だよ?】が大量に流れている。では、すいません。そちらのチープな椅子に腰かけていただいて。誠に申し訳ありません、もっと良い椅子をご用意できなくて。――ハイ、ありがとうございます。これで映りましたね。本日のゲストはIT業界の超革命児――岸本英次さんです! どうぞ、よろしくお願いしまーす!」
「こちらこそ、よろしく」
と、岸本英次は愛想よく微笑むと、カメラに向かって手を振っている。
「いやいや、笑顔の対応、助かりますよ。おおっ、コメントでも【思ったよりも気さくな方】【優しそう】【男前】【若々しい】なんてのもありますねー」
「ハッハッハ! 皆さんも乗せるのが、お上手だね。だけど、あなたのチャンネルを視聴するのは、若い人が多いんじゃない? 僕なんかで喜ぶのかなぁ」
「いやぁ、最近は三十代四十代も多いですから、寧ろドンピシャでございます。それに若い世代を対象とした相談コーナーなんてのも後ほど予定しておりますので、岸本英次だからこその含蓄のあるお言葉をですね、期待する次第であります」
「なんだか、固くない? そうだ。今日はキッシーでいいよ」
「ええっ、ホントですか? では、キッシーよろしくね。ということで、いきなり馴れ馴れしすぎ? フフフ、では早速最初のコーナーいってみようと思いまーす」