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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
そうして始まった最初のコーナーは、『岸本英次が世相を切る!』というもの。
長引く戦争のことや、この国の政治の話題から芸能ネタまで、幅広い話題に対し、ネット配信ならではの忌憚のない意見の交換が行われていく。
特にデリケートな話題として、大手芸能事務所における所属タレントへの性加害問題では、白熱した。
「被害に遭った当時の年齢が十五歳であり十六歳であり、十三歳なんてケースもあるんですよ。それが日常的に繰り返されていたとしたら、大変な問題だ。そして嘆かわしいことは、テレビ局が一斉に黙りを決め込んだことだ。数十年前には既にそうした噂があり、証言があり、週刊誌による告発もあった。性加害を認めた判例すらあったんです。それを報じなかったことにより、その後どれだけの被害者を増やしたことか」
「いやー、まったく。テレビってやつは、結局大手事務所の顔色見ながらしか番組作れないんですから」
「しかし、どうです。それでテレビは面白くなったんですか? アイドルにしろ芸人にしろ、もちろん全否定をするつもりはないが、そこに枠を与えすぎたせいで、どれを観ても同じような番組ばかりが並ぶ。もっと様々な世界から見識があって魅力的な人物を重用していれば、その方が遙かに良かったはずです。探せばいたと思いますよ。でも、もう遅い。そうした人物は、あなたのようにネットの世界に流れてしまいましたからね」
「いやいや、私なんてとてもとても。テレビになんて向いておりませんよ。といいながら、局関係者の皆様、オファーの方、お待ちしております!」