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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「かつての私には『サプライズの丸田』との異名がございましてねー。すなわち、生配信のゲストにサプライズを仕掛けて、本音や本性を引き出そうというわけです。そうして時に炎上を引き起こしながら、このチャンネルを成長させてきた次第ですが」
「だから、なんだ?」
「つまり、今日もとびきりのサプライズが用意されている、ということです。お帰りになる前に、それだけでもお目にかけたいのですが」
「さっきの捏造されたお悩みとやらが、そうではなかったのか? 昔のことを引っ張り出して、私を不快にさせるのが目的か。だとしたら、程度が知れるな」
「そうなんですよー。実はなかなか難しくてですね。そこは流石キッシー。ガードが堅くて、なかなかいいネタが仕込めなかった。そしたら直前、今日の午後になって、当チャンネルのアカウントにDMがありまして、ですね。これが本当なら、とんでもないネタなわけですよ」
「なに?」
岸本の顔色が変わる。
そのタイミングを待っていたかのように、丸田が叫んだ。
「それでは登場していただきましょう! 小説家志望さんこと――岸本涼一くん、そして岸本瑞月さんです!」
そうして招かれたのは、まだ二十歳前後と思しき男女。スタッフが急ぎ席を用意し、カメラの正面、左右の丸田と岸本の間に、二人は着席した。
その一連の様子を――
「……」
呆然と眺めていたのは、岸本英次だった。