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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
丸田が聞くと、岸本は不快そうに顔を背ける。
「……なにが?」
「実際に、大勢の人を使って、娘さんを見張られていたのが事実か、ということなんですが」
「答える必要はない……が、父親が娘のことを守るために最大限のことをした。として、それは恥じることではないと考えるが」
「なるほど。しかし、娘さんがそれを望まないとしたら、どうでしょうか?」
すると、ここで初めて岸本は娘の瑞月に、その視線を向けた。
「瑞月」
名を呼ばれ、瑞月はビクリと身体を強ばらせた。
「この世の中は、恐ろしいことだらけだ。悲惨な事故、凄惨な事件。日々のニュースを目にしてもわかるだろう? 瑞月は世間知らずだ。お父さんは、あらゆる危険から瑞月を遠ざけたいと考えているんだよ」
「だ、だけど……」
瑞月は声を震わせながら、言った。
「私は世の中よりも、お父さんの方が……怖い」
その弱々しい一言には、しかし、真実味が込められていた。その後に流した涙との相乗効果で、この父親と娘の関係が只ならぬものであると、多くの視聴者に対して大きな説得力をもって訴えかけた。
それを前にして、岸本は――。
「話にならないな」
「と、言いますと」
丸田が、その真意を問うと。