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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
◆◆◆視点・岸本涼一◆◆◆
最終の新幹線で東京から戻った時には、もう午後十一時を過ぎていた。駅の駐車場に停めてあった車に乗り込むと、瑞月と顔を見合わせ、ほっと息をついた。
「まさかの展開で、疲れちゃった」
「ああ、ホントにな」
例の〝ただれた部屋〟において、瑞月の魅力に俺の理性が吹き飛びかけた瞬間、電話をくれたのは五月女さんだった。
その後、瑞月を言い聞かせるのに苦労はしたわけが、この機会を逃すわけにはいかないと説得し、急遽、東京に向かうことになった。
五月女さんからの用件は、親父のスケジュールを報せてくれるというもの。昼に電話した時に、こちらから頼んであったのだ。
親父に対して物申すタイミングを見計らおうというものだが、度々そうしたところに顔を出していた親父とはいえ、まさか今日、生配信にゲスト出演する予定があるとは想定してなかった。それだけに、焦りもした。
幸いなことに配信者である丸田さんとは、SNSを通じて連絡を取ることができた。最初は疑わしげに思ったようだが、俺たちの身分証明書と丁寧に説明を尽くしたことで、こちらの事情を理解してもらうに至った。
親父と相対する時に、できればネットの力は利用したいと考えていた。自分でチャンネルを立ち上げて、なんてことも考えていたけど、それでは注目を集めることはできない。その意味でも、有名な配信者の協力を得られたことは僥倖といえよう。
しかし、話が決まってからは忙しかった。とにかく上京し、彼らの指定する場所に行き、配信が始まる前に、打ち合わせをしておかなければならなかった。