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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
親父の反応によっては、何通りのシナリオを用意しても、結局はアドリブで対応することいなる。瑞月と一緒に登場してからの緊張は、はっきり言ってエグかった。そして予想通り、用意したシナリオは途中で破綻することとなった。
だが、一番焦ったのは、瑞月からのキスだった。もちろんシナリオではなく、瑞月以外、俺すらも想定していなかった。それだけに、親父に対する効果は覿面だったわけだが……。
△ △
配信終了後も暫く、親父の剣幕は止まらなかった。だけどそれを止めたのは、親父の取り巻き連中だ。
何人かのスタッフがスマホで動画を撮っていることに気づくと、これ以上醜態を晒すべきではないと、そう判断したのだろう。俺に取ってかかろうとする親父を、身体を挺して止めた。
はあっ、はあっ、はあっ、はあっ――。
荒い呼吸をしたまま、俺を睨みつけている。そんな親父に、俺は最後にこう問いかけた。
「父さんにとって、俺は一体なんなんですか?」
「……………………!」
言葉にできない親父を見た時、俺は不意に一筋の涙を流していた。
「りょ、涼一……?」
「さよなら」
そのまま振り返ることをせずに、瑞月を連れ俺はその場を後にした。