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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
△ △
思うところはあって……。俺だって最初から、親父のことが嫌いだったわけではなく。感謝しているというのも、アリバイのように、言い訳のように、そうした気持ちから口にしたことではないのだから。
今日で全てが良い方向に転ぶなんてことは、ないのかもしれない。やり方が正解だったのかもわからないし、余計の物事を拗らせてしまった可能性すらある。
でも気分は幾分、すっきりとしている。その実、なにかを失って、ぽっかりと穴が空いているのを、そう感じているのかもしれない。だけど、失うことは覚悟の上だから、なにかを失ってそこから始めなければならないと、ずっと、俺はそう望んでいたはずだから。
「私……これから、どうなると思う?」
瑞月も同じようなことを考えていたのだろうか。その言葉には不安も滲んで聞こえたけれど、その眼差しは希望を宿してるようでもあった。
「悪いようにはならないさ。同じような目に遭っても、これからはいろんな人が味方になってくれる。最悪、俺同様に縁を切られたとしたら、その時は俺が責任を持って面倒を見るよ」
「それって……」
「ん?」
瑞月は助手席のシートで、靴を脱いだ右脚を抱えるように座り、その膝に頬をつけて、俯き加減に、言う。
「それってさぁ。それって……兄、として?」
その問いかけに対し、俺はもう迷うつもりはなかった。
「そうだな」
「へえ……」