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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
拗ねたようでも、怒ったようでもある、妹の横顔。それを見つめ、ため息をつき、俺は言うのだ。
「瑞月の可能性は、これからきっと広がる。いつまでも俺が隣にいたら、今度は俺自身が瑞月を狭い世界に縛りつけてしまう。それは嫌なんだ」
「……」
瑞月は暫く膝を抱えたまま黙っていたけれど、なにかを想うように、じっと、随分と長い時間をそうしてから。
――きゅっ!
と、俺の手を握った。
「……でもさ、あの配信を観た人、思うと思う。私たちが、つき合ってるって」
「それはっ……瑞月がキスなんか、するからであって」
少し照れて言う俺を、瑞月は右の瞳だけを動かして、見つめ。
「瑞月と一緒にって、そう言ってくれたのが、嬉しかったから、私」
「あれは――」
「やっぱり兄として? 只の言葉の勢い? それとも、あの一瞬だけでも、あれは――?」
瑞月の途切れた言葉を、補うように答える。
「――本心、だったんだろうな。瑞月のことを愛おしく思ったことも。だけど、あまりあてにしないでくれ。俺はどうも、瞬間的に感情が暴走してしまう人間らしいから」
それだけに、心に宿してしまった、それぞれへの想い。俺は後になって、それを比べることはできないだろう。そこまで思い上がってもいないが、それぞれが大事すぎて……。
故に、俺は――結局は、なにも。