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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「そんなの、私だって……誰だって、そうじゃない? だから、私、やっぱり今日が……」
「瑞月?」
「ねえ、恋愛もののドラマとか映画とか、観る?」
急にそんなことを聞くのは、どうしてだろう。少し不思議に感じながら、俺は答えた。
「まあ、あまり好みのジャンルではないが、たまには」
「ああいうのってさ、途中はいろいろあっても、最後はキスして、なんとなく綺麗に終わるみたいなのが多いでしょ?」
「まあ、そうだろうな。そういうの観る、主に女子は、それが好きなんだろうし」
「でも、私は嫌なんだ。なんだか、誤魔化された気がして」
「そっか」
瑞月がなにを言うつもりなのか、この時点ではまるで見当がつかずにいた。
「おに――りょ、涼一は言ってくれたでしょ? 私のこと、妹ととしてだけじゃなく、違う目でも見てくれたって」
「……うん」
「私は、もっとそうだった。だからね、やっぱり私――」
「……」
「ドラマや映画のように、理想だったりそれを越えた幻想で、綺麗に物語を畳むのが嫌。実際は、もっと生々しくってドロドロしていて、そんなものをちゃんと目の当たりにしたい。だから今日、一度きりでいい」
瑞月は俺を見つめ、言う。
「涼一の中の私の幻想を私が壊す。だから、私の涼一の幻想は涼一に壊してほしいの。そうして、私のこの奇妙な初恋に、終止符を打って」