この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
結局、俺は瑞月を連れてホテルに来ていた。
監視が戻っていないかと一応は道中、気にはしてみたけど、見当たらなかった。というか、最早、俺も瑞月もその点を大事とは感じてはおらず、やはり今日の、親父のあの狼狽えた姿が、なんらかの決着を物語っているように思えたから。
互いの中の幻想を壊したい。そして奇妙な初恋を終わりにしたい。そう、瑞月は言う。
綺麗なまま(俺たちの場合、既にそうでもないのかもしれないが)とっておけるものならば、少なくとも幻想を抱いてくれているならば、それは壊さなくてもいいのではないか。
そう思うのは、一抹の寂しさからか。今夜限りで、そうなった時に、明日から二人は恋人でもなく、兄と妹でもない、わけのわからないものになってしまわないか、と考えている。
けれど、瑞月が望むならば、その奇妙とまでいう初恋の、元凶であるところの、俺であるのだから。
結局はそうして、誰かのせいにして、俺の本当の気持ちは、いつだってしっかりとした柱のようなものではなくて、言うなれば風に靡く、旗のようなものだから。
そう、吹き荒む四方からの風に、靡き続けていた。風が止んだ時に、俺の心に訪れるものは虚無か。そう思うと、怖くすらある。