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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで
「私は安易に、風俗という世界を選んでしまった。他にもっと取るべき手段はあったかもしれないのに。そして、それを弟のせいにしたの」
「高坂さん……」
「せめて自分のためにしたことだったら、その過去を正当化できるような気がした。だから稼いだお金を自分の学費に当てて、柄でもなく大学生になってみたんだけど……やっぱり、なんだか虚しいんだ」
「……」
風俗で働いた過去を、彼女は卑下して止まない。それに対しては、どんな慰めの言葉も、今は求めてないのだろう。
「変な話を聞かせちゃって、ごめん」
彼女は言うと、ベッドから立ち上がり、去ろうとした。刹那、その横顔に涙が光ったように感じ、俺は彼女の手首を掴んだ。
俺は現在、彼女に対し抱いている気持ちを、できるだけ正直に伝えようとしている。
「俺、高坂さんのこと、もっとしりたいと思うんだ。できれば、もう少し時間をかけて」
「時間って、どれくらい?」
高坂さんは背を向けたまま、そんな風に聞いた。
「わからない……。今の俺はとにかく中途半端で、それが少しは是正されるのなら」
「フフ、じゃあそんなの――」
髪をなびかせ振り向いた彼女の顔が、一気に迫ってくる。
「――待ってられないね」
「――!?」
そして、彼女は俺にキスをしたのだ。