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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第13章 エピローグ② 願うべき幸せ
本当に、どう言っていいのかわからなかった。実際、彼女たちの気持ちを想像してみようにも、それぞれの間に、あったことの時系列を纏めるだけでも困難な状態なのだ。
「でも実際、お兄さんの言葉に助けられたのは事実なんです。少なくとも、私の場合――あの日、見た夕陽と兄さんの言葉……それと、あのキスにも、何度も何度も救われました」
そう言って見つめる、彼女の瞳は変わらずに漆黒ではあるけれど、不思議と吸い込まれそうだと感じた以前とは違っているように思え、それが彼女の内面の変化であるのだと、俺は信じたかった。
「今は、もう平気?」
彼女の壮絶に尽きる過去。それが生み出した闇と、彼女は孤独に戦ってきていた。
「闇に呑まれそうな時は、今でも、たまにあります。そうすると、また以前と同じ様な気持ち、誰かに縋りたくなって……だけど、いろんな人に相談して、いろいろ考えて、自分なりの克服の仕方を見つけていったんです。コンタクトにしたのも、そう」
「コンタクトが、どうして?」
「自分に言い聞かせるんですよ。コンタクトをした私は、心の強くて理性的なカッコいい自分だって。そうして淫らな想いだったり、そうした行為に頼ろうとする自分を断ち切るんです」
「へえ、そんな方法が」
「でも、この方法には一つ問題があって……」
「なに?」
「コンタクトを外して眼鏡に戻した時に、逆のスイッチが入ってしまうというか……」
「つ、つまり……エッチになってしまうと?」
「はい……」
恥ずかしそうに瞳を潤ませる彼女を前に、あの夏の淫らな彼女の姿が蘇ってくるようだった。