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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで
臙脂(えんじ)色の布地のベールが緩やかな速度で、下から上へ、魅惑的な身体を徐々に露わとしていく。そして、黒のチューブトップのブラを残し、彼女はそれを脱ぎ去った。
肩にはくっきりと、水着の肩ひもの日焼けあとが。均一に思えた小麦色の肌の境を、思わず注視する。
こちらの視線に気づき、彼女は言う。
「私、とても焼けやすい体質なの。夏のはじめに油断してたら、もう手足が焼けててさぁ。面倒だし今年はいいやって、海で思い切り焼いちゃったんだ」
「とても似合ってる、その色」
少し恥ずかしそうに話す彼女に、つい柄でもないセリフが口をついた。
「フフ、ありがと。もっと見たい? ――白いところ」
そう言ってブラをずらそうとした彼女を前に、思わず息を呑み頷いてしまう。客観的にみてカッコ悪く思うけど、それ以外どうしようもなかった。
「まだ、ダメ。今度は管理人さんが脱ぐ番だよ」
彼女はおどけたように言うと、こちらのシャツを脱がせようとする。協力するように両手を上げると、シャツを裏返しにしながら彼女がそれを引き抜いていった。
その動作の中で、自然と近づいた顔。見つめて微笑むと、彼女は再び唇を重ねようとする。今度は至極しっとりと、確かめ合うように深く重ねた。
どちらからともなく差し出された舌が、相手の意図を探りながら絡み合おうとする。
沸き立つような興奮に苛まれながらも、俺はまだ一抹の不安を拭い切れずにいた。高坂文水が瑞月の友人(この表現も実は微妙らしい)だとか、昨夜の相手か否かであるとか、最早そういう意味の不安とは(それも、あるにはあるが)違っている。
このまま、なし崩しにしてしまった時に、果たして俺と彼女の関係はどうなってしまうのだろう。あまりに急ぎすぎてはいないか、そんな感覚も禁じえなかった。