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落城
第2章 淫らな勝負
なんて破廉恥な――。茜はカーッと頭に血が上った。

「志乃様にむかって、自分の女になれなど何を無礼なことを!」

茜は章介に向かって怒鳴った。

「志乃殿、このお嬢さんは何者ですか」

「堀田茜。主人の弟子です」

「清七郎殿の門弟ですか。元気がいいのはいいが、今は拙者と志乃殿が大事な話をしている最中。お嬢ちゃんの出てくるようなところではない。静かに見ておれ」

「何を――!」

茜は立ち上がり、章介に突っかかろうとしたが、「待ちなさい、茜」と志乃に止められた。「佐々木殿の言う通りです。あなたは黙ってなさい」

「しかし――」

「私の言うことが聞けないのですか」

「い、いえ」

志乃にそう言われてはしかたがない。茜は、やむなく腰を下ろした。

志乃は章介に顔を向けると、ニコッと微笑みを浮かべた。

「佐々木殿、武士に二言はありませんね。私が勝ったら必ず若君を返してくれますね。自由にしてくれますね」

「武士に二言はありません」

章介は神妙な顔をして頷いた。

「いいでしょう。その条件で勝負をお受けしましょう」

志乃は答えた。章介はニヤリと笑った。
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