この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
落城
第2章 淫らな勝負
「それで何を使って勝負するのですか? 木刀ですか? それとも真剣でしょうか?」
志乃が尋ねた。この不埒な男をやっつけてやろうという気が満々だ。
「真剣!? とんでもない」
章介は怖気づいたようにブルブルと顔を横に振った。
「では木刀ですね。それとも佐々木殿は槍が得意でしたから、槍で勝負しましょうか。私はそれでも構いませんよ」
「お気遣いいただき、かたじけない。実は拙者、この8年、世間を放浪しながら天女昇天流の奥義を修得しました。今回の勝負、天女昇天流の流儀でお願いしたいのですが、よろしいでしょうか」
「天女昇天流? はて聞いたことのない流派ですね……。いいでしょう。それで何を使うのですか。刀ですか、槍ですか」
「これを使います」
章介は袂から1尺(約30センチ)ほどの長さの棒状のものを取り出した。木製のそれは油が染み込んでいるのか艶々と黒光りしている。
「ただの棒ではありませんか。そんなものでどのような勝負をしようというのですか」
志乃は不思議そうな顔をしている。
「志乃殿、これはただの棒ではありませんぞ。よーくご覧になってください」
章介は、格子の間から腕を差し込み、志乃の鼻先に手にしたものを近づけた。
「ほら、ここ。先の方が膨らんでるのが、わかりますか」
「確かに膨らんでますね……」
志乃は目を凝らして見ていたが、何かに気づいたのか、ハッとして慌てて目を逸らした。耳が真っ赤に染まっている。
「わかりましたか。さすがに人妻だ」
章介がニヤニヤ笑っている。
「どうされたのですか、志乃様。これが何か――」
志乃の慌てぶりに何があったのか確かめようと、茜が章介が手にしている棒に顔を近づけようとすると、
「茜、見てはなりません!」
志乃は大きな声で茜を制した。あまりに大きな声にびっくりして茜は動きを止め、志乃の顔を見た。
志乃が尋ねた。この不埒な男をやっつけてやろうという気が満々だ。
「真剣!? とんでもない」
章介は怖気づいたようにブルブルと顔を横に振った。
「では木刀ですね。それとも佐々木殿は槍が得意でしたから、槍で勝負しましょうか。私はそれでも構いませんよ」
「お気遣いいただき、かたじけない。実は拙者、この8年、世間を放浪しながら天女昇天流の奥義を修得しました。今回の勝負、天女昇天流の流儀でお願いしたいのですが、よろしいでしょうか」
「天女昇天流? はて聞いたことのない流派ですね……。いいでしょう。それで何を使うのですか。刀ですか、槍ですか」
「これを使います」
章介は袂から1尺(約30センチ)ほどの長さの棒状のものを取り出した。木製のそれは油が染み込んでいるのか艶々と黒光りしている。
「ただの棒ではありませんか。そんなものでどのような勝負をしようというのですか」
志乃は不思議そうな顔をしている。
「志乃殿、これはただの棒ではありませんぞ。よーくご覧になってください」
章介は、格子の間から腕を差し込み、志乃の鼻先に手にしたものを近づけた。
「ほら、ここ。先の方が膨らんでるのが、わかりますか」
「確かに膨らんでますね……」
志乃は目を凝らして見ていたが、何かに気づいたのか、ハッとして慌てて目を逸らした。耳が真っ赤に染まっている。
「わかりましたか。さすがに人妻だ」
章介がニヤニヤ笑っている。
「どうされたのですか、志乃様。これが何か――」
志乃の慌てぶりに何があったのか確かめようと、茜が章介が手にしている棒に顔を近づけようとすると、
「茜、見てはなりません!」
志乃は大きな声で茜を制した。あまりに大きな声にびっくりして茜は動きを止め、志乃の顔を見た。