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落城
第2章 淫らな勝負
志乃は凄まじい殺気を発していた。刀を手にしていたら一刀両断に章介を切り捨てていたに違いない。しかし、今は囚われの身。切り捨てるどころか触ることもできない。それに若君を人質に取られている。章介は口元に薄っすら笑みを浮かべ、余裕で志乃を睨み返していた。
ふぅー。
志乃は、一つ大きく息を吐くと、おもむろに口を開いた。
「わかりました。あなたに女の意地を見せて差し上げます。女を馬鹿にしたことを後悔させてあげましょう」
「この勝負、受けていただけるのですね」
志乃は頷いた。
茜は驚いた。「どうして――」志乃に詰め寄って理由を聞こうとした。そんな茜の顔を志乃はキッと睨むと、首を小さく左右に振った。何も言うなという合図だ。しかたなく、茜は口をつぐんだ。
「さすがは志乃殿。天晴です。それでこそ剣信殿の娘、清七郎殿の妻だ」
章介は膝を叩くと、ニンマリと笑った。
「では、志乃殿の気が変わらないうちに早速支度をするとしましょう。悪太郎ついてまいれ」
「へい」
二人はいそいそと部屋を出て行った。
ふぅー。
志乃は、一つ大きく息を吐くと、おもむろに口を開いた。
「わかりました。あなたに女の意地を見せて差し上げます。女を馬鹿にしたことを後悔させてあげましょう」
「この勝負、受けていただけるのですね」
志乃は頷いた。
茜は驚いた。「どうして――」志乃に詰め寄って理由を聞こうとした。そんな茜の顔を志乃はキッと睨むと、首を小さく左右に振った。何も言うなという合図だ。しかたなく、茜は口をつぐんだ。
「さすがは志乃殿。天晴です。それでこそ剣信殿の娘、清七郎殿の妻だ」
章介は膝を叩くと、ニンマリと笑った。
「では、志乃殿の気が変わらないうちに早速支度をするとしましょう。悪太郎ついてまいれ」
「へい」
二人はいそいそと部屋を出て行った。