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落城
第3章 御開帳
「奥様、旦那の得物を検めましたが特に問題はありませんでした。次は奥様の得物を検めさせていただきます。と言っても奥様は手を縛られているし、何も持ってませんねえ。検めると言っても……」

悪太郎はニヤニヤしながら章介の顔を見た。

「お前の目は節穴か。志乃殿は立派な武器をお持ちではないか」

章介もニヤニヤしながら答える。

「武器と言うと?」

「ここじゃよ、ここ」章介は志乃の股間を指した。「女の最大の武器ではないか」

「なるほど、ここは女の武器ですか。確かにここを使って随喜丸とやり合うんだ。武器には違いないですね。ではちょいと失礼して検めさせていただきましょうか」

悪太郎は嬉しそうに大きく開いた志乃の股間の前に座った。そして、大事な部分を隠している着物の裾に手を掛けた。

「待ちなさい。お前のような下賤の者に私の身体を見せるなど、とんでもありません。許しません」

志乃は目を開けると首をもたげて悪太郎をキッと睨んだ。

「そんなことを言われても……。どうしましょう、旦那」

凄まじい殺気に悪太郎は怯えたように章介に助けを求めた。

「志乃殿、悪太郎をこの勝負の立会人としてあなたも認めたのではなかったのですか。拙者のほうはすでに武器を検めてもらいました。志乃殿も武器を検めてもらうのが作法というもの。それとも何か不正を働こうとされてるのですか」

「不正? どのような不正を働くというのですか?」

「それを確かめるための検分です。そうだろう? 悪太郎」

「へい。その通りで」

「たわけたことを――」

志乃の眉が吊り上がった。

「悪太郎、どうやら志乃殿は何か企んでいるようだ。そうだ、着物が怪しい。その中に何か隠しているに違いない。裸に剥いて確認してみろ」

章介はニヤニヤ笑いながら言った。

「わかりました」

悪太郎は、志乃が締めている帯に手を掛けた。
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