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落城
第5章 昇天
しかし、安心したのもつかの間、章介が再び張形の動きを速くする。

「あっ、ダメっ!」

十分に冷めきってない志乃の身体は、すぐに頂上を迎えそうになった。すると、またしても章介は随喜丸の動きを緩やかにした。志乃の熱が下がるの待つようにゆっくりと動かす。

「ハァ、ハァ、ハァ……」

志乃は肩で息をしながら、章介の顔を睨んだ。章介はニヤニヤと笑いながら志乃を見ていた。

「佐々木殿――!」

「志乃殿、どうかされましたか」

クチュ、クチュ、クチュ、クチュ、クチュ……。再び随喜丸の動きが速くなる。

「あ、ああっ!」

志乃は顔を歪めた。

もてあそばれている――。悔しかったが、どうにもできなかった。絶頂を迎える寸前まで追い込まれ、冷まされる。それを何度も繰り返された。

やがて、蝋燭は燃え尽きる寸前まで短くなった。

「志乃殿、あと少しの辛抱ですぞ」

わざと言いながら章介は張形を操作する。

あと少し。あともう少し我慢すれば勝負に勝てる――。志乃は思ったが、身体はとっくに限界を超えていた。16回目の寸止めを食らったとき、志乃はとうとう泣き出してしまった。
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