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落城
第5章 昇天
蝋燭の炎が強く赤く揺らぐとスーッと消えた。志乃の腰がゆっくりと戸板の上に落ちていった。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
全身がジーンと痺れていた。頭がボーッとする。霞がかかったようだ。それでも自分が負けたことは認識できた。
負けたことが悔しかった。平常心を保つことができなかったことが悔しかった。そして、何よりも自ら求めて章介と口付けを交わしてしまったことが悔しかった。
「見事な昇天でした。あと少しだったのに残念でしたな。ハハハ」
章介は勝ち誇ったように言った。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
「そんなに気持ちよかったですか。まだ随喜丸を食い締めてますぞ」
章介の言うとおりだった。張形は志乃の身体に刺さったままビクンビクンと脈を打っていった。
「どれ、抜いてあげましょう」
章介はゆっくりと随喜丸を抜いた。
「ああ――」
志乃の口から名残惜しむような喘ぎ声が漏れた。
「ほう、ずいぶん盛大に濡らしましたなあ。ビショビショではありませんか」
章介は袂から端布(はぎれ)を取り出すと志乃の秘裂を拭き始めた。
「うっ……」
男に始末されるとは。しかもこんな卑劣な男に――。志乃は自分が情けなかった。
志乃の目から悔し涙が零れた。それはゆっくりと頬を伝って、戸板の上へと流れていった。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
全身がジーンと痺れていた。頭がボーッとする。霞がかかったようだ。それでも自分が負けたことは認識できた。
負けたことが悔しかった。平常心を保つことができなかったことが悔しかった。そして、何よりも自ら求めて章介と口付けを交わしてしまったことが悔しかった。
「見事な昇天でした。あと少しだったのに残念でしたな。ハハハ」
章介は勝ち誇ったように言った。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
「そんなに気持ちよかったですか。まだ随喜丸を食い締めてますぞ」
章介の言うとおりだった。張形は志乃の身体に刺さったままビクンビクンと脈を打っていった。
「どれ、抜いてあげましょう」
章介はゆっくりと随喜丸を抜いた。
「ああ――」
志乃の口から名残惜しむような喘ぎ声が漏れた。
「ほう、ずいぶん盛大に濡らしましたなあ。ビショビショではありませんか」
章介は袂から端布(はぎれ)を取り出すと志乃の秘裂を拭き始めた。
「うっ……」
男に始末されるとは。しかもこんな卑劣な男に――。志乃は自分が情けなかった。
志乃の目から悔し涙が零れた。それはゆっくりと頬を伝って、戸板の上へと流れていった。