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落城
第2章 淫らな勝負
「そんなにしょぼくれるのではありません。きっと助かる機会はあるはずです。それを待つのです」
そう言って、志乃は茜を励ましてくれた。
「志乃様、あの者たちは私たちをどうするつもりでしょうか」
「さあ、私にもわかりませんが、あの者たちが私たちを待ち伏せしていたことが気になります。いで立ちからして秀吉の手の者とは思えませんが、若君と知って襲ってきたのは確か。今も若君だけ他の部屋に閉じ込められているご様子。とすれば、何か要求してくるかも知れません」
「要求というと、お金でしょうか」
「お金で解決できるならいいのですが……」
その時だった。牢屋の戸が開き、男が二人入ってきた。
一人は、背が高くひょろりとしている。着ているものから察すると侍らしい。腰に刀も差している。もう一人の小太りの男も腰に刀を差しているが、丈の短い小袖一枚の姿からすると侍ではなさそうだ。人相も悪い。
「志乃殿、お久しぶりです」
木製の格子の外から背が高いほうの男が志乃に声をかけた。志乃は驚いたように二重の目を大きく開いた。
「佐々木殿ではありませんか!」
「この者をご存知なのですか?」茜が尋ねると、「父の門弟だった人です」と志乃は答えてくれた。
「拙者の顔を覚えていてくれましたか。嬉しいですな」
章介は口元をニヤリと歪めた。
いやらしい笑い方をする男だ。いけすかない――。茜は眉を顰めた。
そう言って、志乃は茜を励ましてくれた。
「志乃様、あの者たちは私たちをどうするつもりでしょうか」
「さあ、私にもわかりませんが、あの者たちが私たちを待ち伏せしていたことが気になります。いで立ちからして秀吉の手の者とは思えませんが、若君と知って襲ってきたのは確か。今も若君だけ他の部屋に閉じ込められているご様子。とすれば、何か要求してくるかも知れません」
「要求というと、お金でしょうか」
「お金で解決できるならいいのですが……」
その時だった。牢屋の戸が開き、男が二人入ってきた。
一人は、背が高くひょろりとしている。着ているものから察すると侍らしい。腰に刀も差している。もう一人の小太りの男も腰に刀を差しているが、丈の短い小袖一枚の姿からすると侍ではなさそうだ。人相も悪い。
「志乃殿、お久しぶりです」
木製の格子の外から背が高いほうの男が志乃に声をかけた。志乃は驚いたように二重の目を大きく開いた。
「佐々木殿ではありませんか!」
「この者をご存知なのですか?」茜が尋ねると、「父の門弟だった人です」と志乃は答えてくれた。
「拙者の顔を覚えていてくれましたか。嬉しいですな」
章介は口元をニヤリと歪めた。
いやらしい笑い方をする男だ。いけすかない――。茜は眉を顰めた。