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落城
第2章 淫らな勝負
「覚えているも何も……。佐々木殿はこんなところで何をされているのですか?」
「拙者ですか。拙者は志乃殿を助けにまいったのです」
「助けに? 本当ですか。であれば子どもを、私と一緒にいた子どもを助けてください。詳しいことは申し上げられないのですが、あの子はさるお方の大事なお子なのです」
「勝信様の若君でござろう」
「どうしてそれを佐々木殿が……」
「城から情報が漏れているのですよ」
「やはり、そうでしたか。そうとわかれば、一刻も早く若君を安全なところにお連れせねば。秀吉が知れば大変なことになります。佐々木殿、ただちに若君を私に返して、ここから解放してください」
「それはできません。若君を捕らえたのは、ここにいる悪太郎です。若君はいわば悪太郎の獲物。何もせずに解放することは悪太郎が納得しないでしょう」
章介の隣で小太りの男が頷いた。
「悪太郎? 志乃様、聞いたことがあります。山賊の親分です」
茜が言った。
「そうですか。山賊ですか」志乃が頷く。「何をすればよいのですか。お金ですか。お金が欲しいのですか」
「さすがは志乃殿、察しが早い。悪太郎は若君を秀吉のところに連れて行き、褒賞金をもらうつもりです」
「そのようなこと――! なりません! 秀吉の下へ若君を連れて行くなど絶対させてはなりません!」
志乃は険しい顔をして腰を浮かせた。
「拙者ですか。拙者は志乃殿を助けにまいったのです」
「助けに? 本当ですか。であれば子どもを、私と一緒にいた子どもを助けてください。詳しいことは申し上げられないのですが、あの子はさるお方の大事なお子なのです」
「勝信様の若君でござろう」
「どうしてそれを佐々木殿が……」
「城から情報が漏れているのですよ」
「やはり、そうでしたか。そうとわかれば、一刻も早く若君を安全なところにお連れせねば。秀吉が知れば大変なことになります。佐々木殿、ただちに若君を私に返して、ここから解放してください」
「それはできません。若君を捕らえたのは、ここにいる悪太郎です。若君はいわば悪太郎の獲物。何もせずに解放することは悪太郎が納得しないでしょう」
章介の隣で小太りの男が頷いた。
「悪太郎? 志乃様、聞いたことがあります。山賊の親分です」
茜が言った。
「そうですか。山賊ですか」志乃が頷く。「何をすればよいのですか。お金ですか。お金が欲しいのですか」
「さすがは志乃殿、察しが早い。悪太郎は若君を秀吉のところに連れて行き、褒賞金をもらうつもりです」
「そのようなこと――! なりません! 秀吉の下へ若君を連れて行くなど絶対させてはなりません!」
志乃は険しい顔をして腰を浮かせた。