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紅い部屋
第8章 10月中旬━自縛━
ついに、買ってしまった。
今しがた宅配便で受け取ったダンボールを前に胸が高鳴る。
バーでステージを見たその夜、勢いでネットで購入してから到着を待ちわびていた。
生理が始まっちゃうと暫く使えないし、間に合ってよかった。
その道具だとわからないように“内容物・化粧品”として送ってくれたから、宅配業者にはバレていないはずだ。
ガムテープを剥がし、箱を開けると透明のビニールに包まれた赤いロープが無造作に入っていた。
意外に簡素なんだな…箱が潰れて中身が見えちゃったらどうするのかしら。
綺麗に束ねられた綿ロープに“ジョークグッズです”の文言と裸の女性が縛られた写真がついている。
テーブル上のノートパソコンを立ち上げ、お気に入りに入れてあるSMのサイトから“自縛のしかた”のページを表示させた。
イラスト描きされた女の子が“亀甲縛り”の方法を丁寧に教えてくれる。
早速部屋着を脱ぎブラを外すと、胸元を隠すために黒のサテンのブラウスを羽織った。
今日はパンツも黒だから、赤いロープが際立つだろう。
まずはロープの丁度真ん中から首にかける。
2本を鎖骨の下辺りでまとめてコブのように結ぶ。
乳房の下辺りでまた結ぶ。等間隔でおへそのあたりにまたコブ結びを作る。
そして、コブから出ている2本一緒に股下に通し背中から首に向けて上にグイッと引く。初めに首にかけた輪に右と左一本ずつひっかけ、脇の下から胸元へ持ってくる。
ここまで来て手を止めひと息つく。
何度もイラストを見直しモタモタしながらもなんとなく形になってきた。
ロープの長さが足りなくて、亀の甲の形は1つだけしか作れなかった。
寝室に立ててある全身鏡に写った自分を見る。
亀の甲が左右均等でないのと、所々たわみが出来ているのが目につく。まだまだ練習が必要かもしれない。
そのままごろんとベッドに横たわった。
じわじわと安心感が湧いてくる。ロープに身体を包まれてる感じがする。
もっと、身動が取れないくらい縛られたらどうなるんだろう。
そうして、まるで蓑虫のように逆さまに天井から吊るされる。
そんな私をあの目で、見下すようにみつめて欲しい。
吊るされたまま、口の中を犯して欲しい。
どんなに苦しくて泣いても止めないで。
圭吾さん━