この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
紅い部屋
第12章 11月上旬━佐和の隠し事━
『ああそうだ、コーヒーのお礼をしないとね』
『!お礼だなんて、私にそんな気を使わないで下さい。だってお礼のお礼になっちゃいます。それに…私の方がホントに、いっぱい助けてもらってます!』
慌てて額が汗ばんできた。
んー、と圭吾さんは少し考えた様子で
『それなら、今の仕事が一段落ついたらドライブに付き合ってよ』
『は…はい、ドライブ…?』
『時々高速を流して時間を潰すんだ。話し相手として一緒に行ってくれる?』
『はい…』
段々と息がしづらくなる。
『日帰りで行ける、君が行きたいところいくつかピックアップしてね』
じゃあお休み、と挨拶して通話を終えた。
結局女の人の事は何もわからなかったし
ドライブの行き先を考えるという宿題が出た。
食事とかプレゼントとか、確かにお礼とは違うかもしれないけど
私にとって圭吾さんと一緒に過ごせる時間はお礼に等しい。
それより男性と車で遠出するなんて人生でこんな経験なくて動悸がしてくる。
自分の中でどう解釈したらいいんだろう。