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父子の夜
第3章 長い1日
プジョアアアアアア……
雄平は震えながら失禁した。ずっと小便を我慢していただけあり、大量の尿が畳の上に水溜まりを作っていく。
「とぉちゃっ…ごめんなさい…ごめんなさい…ゆ…許して…許して……」
鉄平は立ち上がり、洗ってそのまま自然乾燥したシワシワのタオルを手に取り、雄平の傍に寄った。鉄平が近づくと、雄平の小さな体はより一層大きく震えだす。
「ほら」
雄平が小さく折り畳んだ体の隙間にタオルと1つの紙袋を差し込んだ。
「薬だ。自分で塗れるだろ」
そう言うと、鉄平は立ち上がって雄平に背を向けた。そして、泥で汚れたニッカポッカのポケットから財布を取り出すと、もう一度雄平の傍に寄り、近くに置いた。
「田辺先輩…知ってるよな?ここにも何回か来た、あのゴリラみたいなオッサン。あの人んとこな、子供できなくてな、ずっと、お前の事欲しいって言ってたんだよ」
ポケットの中のジャリ銭を掻き回す音が響く。鉄平は落ちつかない様子だ。
「冗談かもしれない。でも父ちゃんも母ちゃんも、もう親死んでるからさ…頼れるの、あの人しかいねぇわけよ。………で、だな…」
雄平は黙って聞いていた。