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父子の夜
第3章 長い1日
雄平は湯の中にそっと下ろされ、後ろから鉄平に抱き締められる形で湯に浸かった。
『今日は学校どうだった?楽しかったか?』
『ん~………普通!』
『普通か~』
鉄平が笑い、雄平も笑う。
それは幸せなひとときだった。
午後18時を過ぎ、家を出ていく時と同じく鉄平は無言で帰宅した。
夏場なので、まだ照明が無くとも十分明るい。鉄平が部屋を見ると、雄平が朝と全く同じ体勢のまま俯せに寝転んでいた。
「おい、雄平」
雄平に近寄る前にテーブルの上の目玉焼きが目に入った。手をつけておらず、窓からの直射日光で腐っている。
鉄平は雄平に覆い被さるように体を重ね、耳を澄ます。静かな寝息をたてていた。
鉄平は体を離し、伸びた髪をくしゃくしゃと掻き毟った。そして、雄平の白ブリーフを脱がせていく。その行為に雄平の体はビクリと反応し、後ろを振り返った。
寝起きに見る、夢の中とは違う鉄平。無表情に雄平を見下ろしていた。
「いやああああっ!!!」
雄平は大声をあげて逃げ出した。足が思うように動かず、匍匐前進をするように畳の上を這って逃げる。
「ううっ…うぁっ…くぅっ…ゆる…ゆる…し…」
部屋の隅まで逃げると、小さく丸まって踞った。