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父子の夜
第12章 ひとりエッチ
柚琉もしつこく誘いはしない。
「わかった!また誘うからな!」
「うんっ」
まだ腫れ物に触るような扱いをするのは柚琉と担任の太田だけだ。
母の死と関係なく、終わらなかった夏休みの宿題も不問とされた。
雄平のアパートの前まで柚琉は付いて来た。遠回りだが、心配だったからだ。
そんな友達の優しさが嬉しかった雄平。鉄製の錆びた階段を上りながらブンブン手を振った。
「ただい……」
言いかけて止まる。
シーンとした部屋の中。
もう、母ちゃんはいない。
雄平は畳の上に寝転ぶ。何もする事がない。それでも遊びに行きたいとは思わない。
ただ、ひたすら鉄平の事だけを考える。
(父ちゃん…早く帰ってきて……)
泣きそうになった雄平の目に、テーブルの上に置かれた二本のディルドが映る。
雄平はゆっくり起き上がって、それらを手に取った。小さな手のひらに余る、大人の玩具。
「…………」
精巧な作りのソレは、本物のペニスに見えて仕方がない。