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父子の夜
第12章 ひとりエッチ
そして、まさに本物の猫のように少しの間ス~リスリと体を擦り付けて甘えると、部屋に戻り素麺を食べ始めたのだった。
「雄平、今頃食ってんのかよ」
時刻は18時。
雄平はチュルチュル素麺を啜り、鉄平を見上げる。鉄平が怒っているのかを確認する。
鉄平は咄嗟に作り笑いをした。
傷つきやすい雄平には言い方も気をつけなければならない。
「お昼寝しちゃってて……」
「……そっかそっか。うんうん、それは仕方ないよな」
鉄平は頭に巻いたタオルを取りニカッと笑う。雄平はそんな鉄平を見て真っ赤になる。
タオルに巻かれ、普段絶対にやらないオールバックになっているのだが、それがよく似合っているのだ。
そんな事には気づかず、鉄平は手甲シャツを脱いで着替えを始める。今日は銭湯に行くのでシャワーは浴びて帰ってきていない。
「ん?」
ふと箪笥の上を見ると、妻の遺影が伏せて置かれていた。
(俺、戻してなかったっけな?)
写真立てを起こすと、手前のローションのボトルが目に入る。
いつもどこに置いたかなど一々確認などしないが、少なくとも、ギリギリで落ちそうな場所には置かない。